2010 年度ミスター LMC 小松 智史
「ミスター LMC」というタイトルは、そのシーズンを代表するプレイヤーのためにあるタイトルである。今シーズンの LMC を語るに当たって避けて通れない男は、シーズン最終戦、Championship のプレイオフを観客の一人と観戦し、試合結果を受けて自分が三代目ミスター LMC の座に就いたことを知った。
三代目ミスター LMC を襲名したのは、小松 智史(千葉)。
対外的には「Finals 2009 準優勝」ってことになるのだろうが、それは 2010 シーズンのポイントレースが始まったさなかの出来事であり、小松をよく知る友人たちにとっては「でも最後負けてるしな」と返されてしまう程度のできごとであったように思う。この時点でまだ小松は高校生だったから、世間では耳目を集めたそうだ。
小松 「兄から薦められて、ネメシスから始めたから…… 10 年くらいですか? 小学生の頃から LMC に出てましたね」
小松は LMC では古株である。初代・増野 良輔(茨城)、二代目・田部 敬太(千葉)や、彼らの友人たちよりもずっと古くから LMC に参加していた最古参の部類である。中学生の頃は部活が忙しくてほとんど顔を出せていなかったが、高校生になってから、また「常連」として帰ってきた。
小松 「LMC でマジックをするのが楽しかったんですよ」
増野、田部の後を追うかのように、小松も 2010 シーズンが始まった昨年秋から年末にかけてポイントレースを独走し、ポイントレースの最上段を定位置とした。十分なリードを築いたかと思うと、春先にはとんと勝ちから遠ざかる、といったところも歴代のミスターたちとうり二つであった。
小松 「初めの頃にけっこうポイントを稼げていたので、少しは(ミスターを)意識してましたね」
小松がレースで失速したこと、暫定 2 位につけていた三原槙仁(千葉)が仕事の都合でしばらく日本を離れてしまうこと、といった要素もあって、小松のことをかわいがっている若手メンバーは「小松には勝たせないぜ」とやる気を出して、終盤ポイントレースを盛り上げてくれたことは記しておこう。おかげで、最終戦、プレイオフまで結果がもつれ込んだのだから。
小松 「基本的に毎週参加してます。千葉、蘇我、代々木、どこでも」
小松の勝因は、ポイントレースの結果から見て取れる。昨年の田部は文字通り「圧倒的」であったが、今年の小松はこつこつ稼いだ勝利と言えよう。参加し、プレイオフに進み、決勝まで勝ち上がったことで重ねたリードが最後まで効いた。会場に行けばいたのが小松であり、だからこそ今年のミスターの座を射止めたということだろう。
小松 「得意なアーキタイプですか? 特にありませんけど……有田(隆一)さんにいろいろ教えてもらってます」
小松にとって大先輩、というよりは「歳の離れた友人」とでも言うべき、有田や三田村 和弥(千葉)といったプロツアーも知る大人たちが、小松のことをかわいがっている。彼らを通じて、小松自身の成績を通じて、彼らの友人たちもまた、小松のことを気にしてくれている、という。
小松 「マジック自体がおもしろいのと……マジックで知りあった友人関係がたまらないですね」
まるで「茶番」だ、と小松は言う。そして「だから、プレイ中が楽しい場所だ」と付け加えた。小松にとって、LMC は友人との遊び場であり、社交場。同年代はもちろん、歳の離れた友人をも産んでくれる大切なコミュニティだった。
小松 「LMC は千葉でいちばん……いや、全国でも指折りの楽しいコミュニティだと思います。主催者のみやけんさんはもちろん、参加者みんながそういう気持ちでいるからっていうか。もちろんぼくもその一員として楽しみながらがんばってます。このカバレージで LMC を知った人たちが遊びに来てくれたら嬉しいですね」
おめでとう、2010 年度ミスター LMC 小松 智史!